20年ほど前のこと
私たち家族は官舎の2階に住んでいた
家族用官舎だったが
向かいの人は男性の一人暮らしのようだった
その隣人と話を交わしたことはない
ある日、夕方玄関をあけたら
ちょうど隣人が帰ってきたところだったのか
ドアを開けていた
家の中が見えた
息を呑んだ
積み上げられたゴミ袋や段ボール
玄関もゴミ袋
そして入りきらなくなったゴミ袋は
ついに我が家との共有の踊り場にまで
侵出を始めた
ゴミ屋敷の言葉もない時代だった
画面では伝わり切れぬゴミ屋敷 毛利由美