その日は急いでいた。
バスが大幅に遅れ、走らないと目的の電車に乗れない。乗り遅れると到着が30分遅れる。
バスが到着し、私はステップからジャンプした。その日はロングスカート。思いっきり脚を広げて飛び降りる!予定だった。が、スカートが広がらなーい。心の叫びが着地に現れた。
バスは遅れていた。急いでいたのは私だけではない。ひしゃげたカエルさながらの私の横をお客さんたちは急ぎ足でバスから降りる。
痛いのとイタイ姿を悟られまいと(それ自体がすでに痛い)スカートや足をパッパッと払い近くのベンチへ。膝や肘がジンジン痛い。
もう無理。電車間に合わない。次の電車まで20分ある。頭の中はフル回転。
駅にはコンビニもトイレもある。足を引きずり気味にコンビニへ行き絆創膏を購入。トイレに入り、膝、肘を眺める。痛々しく擦った跡から血がにじみ出る。さいわい服に汚れはなく、買ってきた大きな絆創膏で傷を覆う。
よくよく考える。タイトでもないロングスカートがなぜ広がらなかったか。
答えは2つ。1つはバルーンスカートだったから。そしてもう1つは。
スリットのないスカートで転んだの 毛利由美