川柳小噺

エッセイをまとめたら17音になった

雷とどんぐりの木

むかし、雷鳴が怖かった

 

 

雷が鳴ると押し入れに入ってふるえていた

 

 

そのうち耳をふさぐことを覚え

 

 

いつしか恐怖は消えていった

 

 

雷が鳴っているとき、木の近くにいると危ないという

 

 

子どもが小さかったころ、周りは官舎で遊び放題だった

 

 

夕方、雷鳴が聞こえベランダから子どもの姿を探したら

 

 

大きなどんぐりの木の下に伏せていた

 

 

自殺行為とはこれだ

 

 

慌てて家に呼び戻した

 

 

そのどんぐりの木も今は伐採され

 

 

新しい家が立ち並んでいる

 

 

雷鳴に木から飛び出す雨宿り                        毛利由美

 

 

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