川柳小噺

エッセイをまとめたら17音になった

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盗難届を出さずとも

今頃思い出した大昔の話

 

 

大学生の頃よく帰り道に

 

 

紀伊国屋で立ち読みをした

 

 

その日も雑誌を夢中で読んでいた

 

 

ふと肩掛けのバッグの一方のストラップが

 

 

肩から外れているのに気がついた

 

 

何も考えずに肩掛けを肩に戻し

 

 

本を買わずにそのまま駅の改札口へ向かった

 

 

そこで定期券がないことに気がついた

 

 

探し回っていると財布もない

 

 

あれ、落としちゃったかな

 

 

紀伊国屋に戻って立ち読みしていた辺を見るがない

 

 

仕方なく駅に落とし物届けをして家に帰った

 

 

その後も音沙汰がないので

 

 

どこかに紛失してしまったんだなと諦め

 

 

定期券も再発行しお財布は買い替えた

 

 

大昔の大学生なのでクレジットカードを持たず

 

 

大金も入っていなかったのでその点は良かった

 

 

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すっかり財布をなくしたことを忘れていた頃になり

 

 

警察から電話がかかってきた

 

 

>擦りを逮捕したら盗難物からあなたの名義の定期券と学生証の入った財布が出てきました

 

 

>時間があるときに高槻警察署に取りに来てください

 

 

なんと落としたのではなく盗まれたのか

 

 

立ち読みに夢中になって

 

 

バッグの肩掛けが落ちていることを気づかず

 

 

完全に盗んでくださいモードだったことを

 

 

その時になって思い起こした

 

 

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財布の中身は寂しいことになっていたが

 

 

警察に届もだしていなかったのに

 

 

財布と定期券は手元に戻った

 

 

今ならクレジットカードやスマホもあり

 

 

こんな呑気な状態ではいられなかっただろう

 

 

アナログオンリーのときののどかな盗難の話

 

 

初めての警察は被害者として

 

 

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